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1|いすみに残る“上総“の歴史

◉ 平安時代のいすみ
当時、いすみ周辺は武将・上総広常(かずさひろつね)によって治められていました。上総広常は、源頼朝に味方し、鎌倉幕府の成立に貢献した人物とされています。同時に、源頼朝は、平家との戦に敗れ房総半島に逃れたと伝えられており、この地域には頼朝にまつわる伝説や史跡がいくつか残されています。

・源頼朝が名付けたとされる硯山長福寺と、頼朝が筆を一時立てかけた「筆掛の槙」
・源頼朝が使った箸が成長したと言われる「名熊の二本杉」

◉ 戦国時代のいすみ
いすみには房総を代表する山城のひとつ「万喜城(まんぎじょう)」が築かれました。この城は、周囲三方を夷隅川が囲み、天然の堀として機能していました。また、徳川家康が房総を支配していた里見氏を牽制するため、家臣の本多忠勝を安房に派遣した際、一時入城し拠点としたと伝えられています。

現在、万喜城跡は公園として整備されていて、展望台から太平洋までを見渡すことができます。

◉ 江戸時代のいすみ
江戸のいすみでは、伝説的な彫師・武志伊八郎信由(通称:波の伊八)が活躍しました。葛飾北斎に影響を与えたと言われている彼は「波を彫らせたら天下一」と称され、多くの寺社建築の欄間彫刻を手がけました。東頭山行元寺、硯山長福寺、そして明王山飯縄寺で伊八の作品を見ることができます。

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2|いすみの秋の伝統祭

毎年9月23日・24日に行われる「大原はだか祭」は、複数の神輿を担ぎながら海に入っていく人々の勇ましい姿が知られていますが、その原型は江戸時代に確立されたとされています。五穀豊穣・大漁祈願を祈るために、地域の神社から18基の神輿が集まり、2日間にわたり勇壮に担ぎ上げられます。

大原はだか祭は、「汐ふみ」と「大別れ式」の2つで構成されます。初日の「汐ふみ」ではまず、午前10時頃、大原地区の神輿が親神である鹿島神社に集まり、神事が執り行われます。そして午後2時過ぎ、大原漁港へ移動し、五穀豊穣と大漁祈願ののち、いよいよ「汐ふみ」が始まります。全ての神輿は、担がれたまま担ぎ手による掛け声とともに一斉に海へと入っていきます。担ぎ手と神輿たちが波打ち際で激しく揉み合う様子は、まさに圧巻の光景です。

二日間とも夕刻に行われる「大別れ式」では、午後5時頃、木戸泉酒造前に神輿が集まり、まつり唄を唄いながら大原中央商店街を練り歩き通ります。商店街の通り約1キロは人と神輿で埋まり、いつもと違う光景を見ることができます。その後、大原小学校の校庭へ向かいます。校庭に到着すると、神輿は担ぎ手により高く掲げられ、回され、勢いよく駆け回ります。最後に花火が打ち上がると、担ぎ手たちは

「若けもんども 別れがつらい 会うて別れがなけりゃよい」

と、若者へ向け、出会いと別れの辛さを伝える唄を繰り返し唄いながら、祭りの幕を閉じます。

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3|“美味しさ”を生み出す豊かな自然環境

◉ 集う漁場
いすみの海は、黒潮と親潮が交わることでプランクトンが豊富に生息し、多様な魚介類が集まります。特に、沖合に広がる岩礁群「器械根(きかいね)」は、かつて器械潜水が行われていたことに由来する名称で、今も重要な漁場となっています。

いすみ市の中心部に位置する大原漁港では、毎週日曜日に「港の朝市」が開催されており、名物のタコ飯や湯気の立ち上るイセエビ味噌汁、磯の香りが香ばしい蛤焼きなど、旬の魚介を使った料理が楽しめます。

◉ 土壌と気候に恵まれた有機栽培の農作物
温暖で寒暖差の少ない気候は、みかんや梨などの果樹栽培に適しています。また、市内を流れる夷隅川は、養老渓谷から運ばれる粘土鉱物を多く含んでおり、米作りに適したミネラル豊富な土壌を育んでいます。この土壌は「夷隅統(いすみとう)」と呼ばれ、いすみの農業を支える基盤となっています。

またいすみは、有機農業を行う農家の支援や、学校給食への有機食材の導入を通じて、地域全体で持続可能な農業に取り組んでいます。

◉ 野生に生きるジビエたち
いすみには豊かな自然が残されており、イノシシ、アライグマ、ニホンジカ、鴨など、多様な野生動物が生息していますが、中でも注目されているのが「キョン」です。
シカ科の小型動物で、成獣でも肩までの高さが約40cmと小柄で、台湾では高級食材として扱われています。その味わいは淡白な鶏肉に似ており、炭火焼きやBBQに適しています。

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4|“こだわり”を持つ生産者

いすみには、地域の自然と調和しながら農・食・ものづくりを実践する生産者たちが多数存在します。

つるかめ農園
おいしさと安心を追求した、農薬や肥料を使わず、稲本来の生命力と自然の循環を重んじた米づくりを実践。環境全体との調和を目指す持続可能な農業に取り組んでいます。

MITOSAYA(ミトサヤ)
大多喜町にあるボタニカル蒸留所。自家栽培の果樹やハーブ、信頼する生産者から仕入れた素材を使い、発酵と蒸留の技術で蒸留酒や加工品を製造。「自然からの小さな発見を形にする」を理念に、130種を超える製品を世に送り出しています。

Farmアキ
いすみの海と山を畑でつなぐことを実践する農家。野菜・ハーブ・エディブルフラワーなどを少量多品目で栽培しており、その肥料は伊勢海老漁で一緒に獲れる海藻など、地域から得られる自然素材のみを使用し、季節に応じた栽培を行っています。

ちばジビエの森
ジビエの生態を熟知した猟師が営む、市内唯一のジビエ専門食肉処理施設。代表である永島氏が捕獲から精肉までを一貫して行い、キョンをはじめ多様な野生動物を取り扱っています。noteでもジビエの魅力や調理法、食文化を発信中。

高秀牧場
循環型酪農を行う、乳牛約170頭を飼育する牧場。国産飼料100%を目指す取り組みの一環として、牧場内のカフェではチーズやスイーツの販売を行い、牛たちと過ごす時間も提供しています。

ロゴ
季舟庵

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